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678 蜘蛛火
蜘蛛火は怪火の一種です。
江戸時代中期、春名忠成の『西播怪談実記』に、これが播州佐用郡に大量の怪火が出現し、人々が「くも火だったのだろうか」と語ったと記されていますが、その詳細は明らかではありません。
奈良県磯城郡にも伝承があり、数百匹の蜘蛛がひと塊の火となって空を飛び、これに当たると死ぬといわれました。
岡山県の玉島八島では蜘蛛の仕業とされる「蜘蛛の火」が伝えられていて、その怪火は島地の稲荷社の森の上に現れる赤い火の玉で、生き物または流星のように山々や森の上を飛びまわったあとに消えたといいます。
この蜘蛛火。
なぜか一度に大量に現れ、そして跡形もなく消えていったといいます。
イトはわかりませんでした。
・イト=糸=意図
・春名忠成(はるなただなり・生没不明)
・『西播怪談実記』(せいばんかいだんじっき・怪談集)