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677 釣瓶火
釣瓶火は怪火の一種です。
江戸時代中期、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にあり、炎の中に顔が浮かんだ火の玉が、大きな岩に生えた松の枝からぶら下がった姿で描かれています。
解説文がなく詳細は不明ですが、江戸時代前期の怪談本『古今百物語評判』の中にある「西岡の釣瓶おろし」の火の玉がモデルとなったとみられています。
九州、四国地方では、「木の枝からぶら下がり、毬のように上下動を繰り返し、夜道を通る者を驚かせて喜ぶ」と伝えられています。
釣瓶火は陰火で熱くはありませんが、驚かした人間に怒鳴られると、炎の中に人間の顔を浮かび上がらせたといいます。
そんなとき。
釣瓶火は涼しい顔をしていたといいます。
・涼しい顔=陰火で熱くはありません
・涼しい顔=他人事のように知らん顔をしている
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『図画百鬼夜行』(がずひゃっきやこう)
・山岡元隣(やまおかげんりん・1631~1672・俳人・仮名草子作者)
・『古今百物語評判』(ここんひゃくものがたりひょうばん・怪談)




