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671 笑い地蔵
笑い地蔵は静岡県湖西市に次のような話が伝わっています。
その昔。
潮見坂にある地蔵はよく人を化かしていました。
その噂を聞いた侍が、化け物を退治してやろうと地蔵のある村にやってきました。
真夜中。
侍が地蔵のもとに着くと、そこには六体の地蔵が並んでいました。
侍は地蔵の前で化け物を待ちました。
明け方。
ゲラゲラと笑い声が聞こえました。
侍があたりをうかがうと、地蔵の一体が一つ目の入道になり、赤い舌を出して笑っていました。
侍が刀で斬りつけると、一つ目入道は悲鳴をあげて地蔵に戻りました。
朝、地蔵には袈裟がけに斬られた刀傷があり、それを見た村人が侍にたずねました。
「この刀傷は?」
「私がケサ斬りました」
・ケサ=袈裟=今朝




