667/917
667 化け古下駄
化け古下駄という妖怪がおります。
古い下駄が変化したもので、宮城県塩竈市に次のような話が伝わっています。
その昔。
夜になると町中を「鼻いでえ、鼻いでえ」と言いながら歩く者がいました。
ある若者が正体を見定めようと声を追うと、近くの藪からざわめく声が聞こえました。
そこでは互いを下駄、蓑、太鼓などと呼び合っており、若者は恐ろしくなって逃げ帰りました。
翌朝。
若者が昨晩の薮へ入ってみると、蓑、太鼓などが散らばっており、その中に鼻の欠けた古い下駄がありました。
若者はその場でそれらを焼き捨てました。
その後。
化け古下駄が現れなくなると、若者は「おれが退治したんだ」と自慢したといいます。
鼻にカケました。
・鼻にカケ=鼻の欠け
・鼻にカケる=得意げになる