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655 カンチキ1
カンチキという妖怪がおります。
山梨県南都留郡に伝承があり、これは河童の類いのもので、背中に甲羅があり、顔は青黒く、鳥のくちばしのような口をしていたといいます。
性格は非常に残虐で、しかも腕力が強く、人間の肛門から細い腕を突っ込んで内臓を引っ張り出して喰らうなど、ものすごい力で川の中に引き込んだりしたといいます。
カンチキと引っ張り合いになると負けるので、そのときは途中でヒョイと押し返すのがよく、するとカンチキは勢いあまってうしろ向きにひっくり返り、その拍子に背中を打ちつけて、よく甲羅にヒビが入ることがありました。
カンチキは割れた甲羅を見たあと、オロオロしながら叫んだといいます。
「コウラ大変だ!」
・コウラ=甲羅=こーら(これは)