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654 芝天狗
芝天狗は河童の類いのものです。
名称の芝は「小さい」という意味で、これがもとは天狗だったことに由来し、高知県や徳島県に次のような話が伝わっています。
芝天狗は天狗というより、むしろ河童に近い存在であり、姿かたちは身長1メートルほどのメートルほどの小さな子供のようで、全身に長い体毛が生えていたといいます。
これは川辺や堤などに現れ、人間を見ると盛んに相撲をしようと誘ってくるのですが、このとき相手をすると知らぬ間に一人で相撲を取っていたり、石や藁と相撲をとらされていたりしたといいます。
そうしたことから相撲に誘われた者は、誰もが知らん顔で相手をしませんでした。
この芝天狗。
そんなときは一人相撲に終わりました。
・一人相撲=一人で相撲を取って
・一人相撲=物事を一人だけで気負いこむ