65/919
65 三つ目入道
三つ目入道は化け狸の一種です。
これは三つの目を持つ入道の姿をした化け物で、明治時代、錦絵新聞『東京日日新聞』に次のような記事が報じられています。
明治6年8月4日。
午前3時頃、東京の神田元柳原町に住む梅村豊太郎という男が、地震で目が覚めた後に寝つけずにいたところ、一緒に寝ていた子供が激しく泣き始めました。
豊太郎が何事かと案じていると、いつの間にか枕元に三つ目の入道が立っていました。
豊太郎は入道の手をつかんで引き倒しました。
すると入道は化け狸の正体を現し、捕まって観念したのか、つかまれた手を自ら抜いて逃走しました。
残された1本の手。
それは逃げの一手だったと、記事の最後に小さく記されてあります。
・一手=一本の手
・逃げの一手=面倒なことは避けて通り、専ら自分の身の安全を考える




