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646 ヤイレスプ
ヤイレスプという妖怪がおります。
樺太アイヌに伝承があり、名前は「ひとりで育った子」という意味で、ヤイレスプは人間の親がいない「人間の始祖」だとされています。
あるとき。
化け物の婆が子供の魂を盗み、それを背負って自分の村へと向かって逃げていきました。
ヤイレスプは子供の魂を取り戻そうと、美しい模様のある鳥に身を変じて、化け物の婆を追いました。
化け物の婆は逃げる途中、体がだんだん地面にめり込んでいき、やがて腰まで埋まり、ついには全身が地中に沈んでしまいました。
ヤイレスプは子供の魂を取り返して連れ帰り、その子の体にそれを入れて生き返らせてやりました。
このヤイレスプ。
変身すると色トリドリになりました。
・色トリドリ=色とりどり=色鳥鳥




