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64 じゃんじゃん火
じゃんじゃん火は怪火の一種です。
奈良県の各地に伝承があり、じゃんじゃんと音を出すことが名前の由来で、死者の霊が怪火に姿を変えたものだといわれています。
その昔。
白毫寺と大安寺の墓地それぞれから火の玉が現れ、二つの火は夫婦川で落ち逢うと仲良くもつれ合い、やがて墓地へと帰っていきました。
正体は心中した男女であり、死後別々の寺に葬られたことから、火の玉となって逢っているといわれています。
ある夜。
このじゃんじゃん火に襲われた男がいました。
男が夫婦川に飛び込んで逃げると、火の玉は水の中までは追ってこず、二つそろってどこかへ飛び去っていきました。
このじゃんじゃん火。
夫婦水入らずでした。
・水入らず=水に入らず=夫婦水入らず
・夫婦水入らず=内輪の者だけで集まっている




