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638 木綿ひき婆
木綿ひき婆は福岡県に次のような話が伝わっています。
その昔。
福岡の屋敷町の空き地に一本の大きな古木があったのですが、この木のそばを人が通りかかると、そこには綿繰り車をまわす白髪の老婆がいて、恐ろしい目つきでにらみつけてきたといわれています。
また、こんな話もあります。
その木が風で揺れると、あたかも綿繰り車をまわすような音が聞こえるので、子供たちは「木綿ひき婆だ」と怖がって、決して近づかなかったといいます。
現在。
木綿ひき婆がいたという場所には、綿繰り車をまわす音を出したといわれる古木は残っていません。
ですが今でもそこでは、綿繰り車をまわす音が聞こえてくるといいます。
コットン、コットン。
・コットン、コットン=綿繰り車をまわす音
・コットン=綿