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637 後追い小僧
後追い小僧は山霊の一種です。
神奈川県丹沢地方に伝承があり、これは見た目は10歳ほどの子供のようで、ぼろぼろの毛皮、むしろ、絣などを身にまとっていたといいます。
山中、後追い小僧は山で働く者の後をつけ、つけられた者が気配を感じて振り向くと、木や岩の陰に身を隠しました。
現れるのは日中の午後が多く、暗くなって現れる場合は提灯の明かりを灯しており、声を出すことや物音を立てることはなく、また危害を加えることもありませんでした。
後をつけられた者は尾行を巻くため、握り飯や芋を後追い小僧に向かって投げつけました。
このとき投げても当たらない毛皮やむしろは投げませんでした。
カスリもしなかったといいます。
・カスリ=絣=掠り
・掠る=軽く触れて通り過ぎる
・むしろ=ワラやイグサなどで編んだ簡素な敷物