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626 沓頬
沓頬という妖怪がおります。
これは江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、頭に沓を載せた人間と動物が描かれています。
その解説文。
「瓜田に妖怪が現れて瓜を食うので、寺の霊符を置いたところ現れなくなった。その霊符には瓜田に履を入れず……と書かれてあった」
石燕は妖怪「長冠」と同じ見開きに沓頬を描いており、これは『徒然草』の五十五、六段に登場する冠と沓を題材にしたとされています。
また図画の方は、室町時代の妖怪絵巻『百鬼夜行絵巻』に描かれた、頭に浅沓を載せた妖怪をモデルにしたと考えられています。
この沓頬。
『百鬼夜行絵巻』の沓頬と瓜二つです。
・瓜二つ=瓜田
・瓜二つ=外見や態度などがとてもよく似ていること
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)
・『徒然草』(つれづれぐさ・吉田兼好著・随筆)
・『百鬼夜行絵巻』(日本の絵巻物で多数の作品が現存)