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623 七尋女
七尋女という妖怪がおります。
鳥取県日野郡に伝承があり、桜の古木の下に、首が七尋も伸びる女が現れたといいます。
その昔。
オサミという女がおりました。
オサミには恋仲の男がいたのですが、この男には親が決めた婚約者があり、やがてオサミの前から去っていきました。
オサミは悲嘆して川に身を投げ、死後は蛇身となって川の淵に棲まい、帰ってくるあてのない男を待ちました。
その後。
棲み処の淵が洪水で流されると、蛇身のオサミは陸に上がって樫の木に姿を変えました。
現在。
日野郡江府町には県指定天然記念物の「七色樫」という樫の木があり、これが七尋女だと伝えられています。
この七尋女。
裏切った男にカシがあったのです。
・カシ=樫=貸し
・七尋=1尋は約1・8メートル