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62 コボシ
コボシという妖怪がおります。
河童の類いのもので、三重県志摩市に次のような話が伝わっています。
その昔。
コボシが馬に悪戯をしたところ、逆に馬に蹴られて頭の皿を割られてしまいました。
川に帰れなくなったコボシは、人間の女に化身して寺で働いていましたが、住職に正体を見破られてしまいました。
コボシは住職に頭の皿を見せました。
「和尚様、これを治してください」
「悪さをしないと誓えるか?」
住職は誓いの証拠を示すよう言いました。
するとコボシは大きな石を二つ運んできて、「これが朽ちるまで悪戯をしません」と誓ったので、住職は法力で頭の皿を新しいものと取り替えてやりました。
このコボシ。
頭の皿が真っサラになりました。
・サラ=皿=新しい




