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616 鮭の大助
鮭の大助は鮭の怪魚で、川魚の王とされています。
東北地方を中心に伝承があり、12月20日など決まった日、妻の小助とともに海から川へと遡上し、その際に「鮭の大助、小助、今のぼる」と大声を張り上げるのですが、この声を聞いた者は祟られて、三日後に死んでしまうといわれました。
こうしたことから、川で働いている者たちは祟りを怖れ、この時期は仕事を休んで川に出ないようにしたといいます。
また川辺の村人たちも、大助の声を聞くことのないよう歌ったり、鉦を鳴らしたり、耳塞ぎ餅という餅をついたり、酒を飲んで騒いだりして過ごしました。
この鮭の大助。
川辺の村人たちからサケられていたのでした。
・サケ=鮭=避け=酒
・鉦=金属製の打楽器の一種