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610 小蛇の出る旗竿
小蛇の出る旗竿は江戸時代後期、横井希純の『阿州奇事雑話』に次のような話があります。
その昔。
徳島の中村氏の屋敷では、端午の節句の旗を立てたところ、5月5日の昼に旗竿が中ほどから折れて、そこから小蛇が出た。
その後も同様のことが続いたので、旗を立てると凶事があるとして、男児が出生しても旗を立てないのが家風となった。
30年ほど前。
中村家の家臣に男児が出生したとき、「小児の祝いに旗を立てないのは、かえって不吉である」と都合よく考え、旗を立てた。
すると5月4日の昼過ぎ。
新しい旗竿が中ほどから折れて、昔の話のとおりまたしても小蛇が出たそうだ。
この小蛇の出る旗竿。
ハタハタこまったものでした。