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606 ヤマンバ憑き
・ツキ=憑き=つき(運)
ヤマンバ憑きは憑き物の一種です。
これは高知市に伝承があり、家が栄えることを「ヤマンバが憑く」といいました。
その昔。
ある家でヤマンバが憑いたことがありました。
山で仕事をしている最中に、その家の主人がある物が欲しいと思うと、それが家に置かれてあるようになり、またどういうわけか、米も切れることがなくなったのです。
ある日。
主人が不思議に思って早めに家に帰り、窓からこっそり家の中をのぞき見ると、見知らぬ白髪の老婆が座敷を掃除していました。
これに驚いた主人がおもわず声を上げると、老婆はどこかへ逃げ去りました。
それ以来。
その家は衰退していったといいます。
この家。
それまでのツキが逃げてしまったのでした。




