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593 懸衣翁
懸衣翁は、死後の世界の三途の川のほとりにある衣領樹という木のそば、あるいは川辺にいる奪衣婆という老婆の鬼の隣にいる老人の妖怪です。
懸衣翁は奪衣婆と共に十王の配下で働き、奪衣婆が亡者からはぎ取った衣服を衣領樹の枝にかけ、その枝の垂れ具合で亡者の生前の罪の重さを計ったといいます。
ちなみに死者が三途の川を渡る際、罪が重い者ほどより流れが速く、より波が高い場所を渡るよう定められていたため、衣は濡れて重くなり、衣をかけた枝は大きく垂れました。
また死者が服を着ていない場合、懸衣翁は亡者にずぶ濡れになった重い服を着せました。
この懸衣翁。
死者に濡れ衣を着せました。
・濡れ衣=ずぶ濡れになった重い服
・濡れ衣を着せる=無実の罪を負わせる
・奪衣婆=三途川で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼
・十王=冥途で亡者の罪を裁くとされる仏たち十尊
 




