591/925
591 魚竜石
魚竜石は奇怪な石で、江戸時代中期、大朏東華の随筆『斎諧俗談』に次のような話が記されています。
魚竜石は魚竜洞という洞窟から流れ出てきたものであり、これを割ると中から魚竜の形の石が出てきたといいます。
この魚竜洞の前を通る際に一言でも何かをしゃべると、たちまち洞窟の中から風雷の激しい音がはね返ってきました。
さらにこの魚竜石の表面には、泥鰌のような模様がくっきりと浮き出ていて、これを火にくべると焼き魚の匂いがし、その匂いに誘われて猫が集まってきたといいます。
この魚竜石。
焼けたところを盗んでいく猫もいて、そうした猫は舌を火傷したといいます。
ドージョウの余地なしでした。
・ドージョウ=泥鰌=同情
・大朏東華(おおでとうか・?~1745・)
・『斉諧俗談』(さいかいぞくだん・雑書)




