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581 和尚魚
和尚魚という妖怪がおります。
海坊主の類いのものだといわれ、江戸時代の百科辞典『和漢三才図会』に次のようなことが記されています。
「体長は五、六尺ほど、髪の毛のない坊主頭で、その頭部以外は亀そのものであり、魚を示す要素はどこにも見られない」
この和尚魚。
人間に捕らえられると手を合わせて涙を流し、命乞いをしてきたといいます。
このとき、「助けてやるが、そのかわり二度と祟ってはならん」と言い聞かせ、海へ逃がしてやると良いとされています。
同じ類いのものに亀入道という妖怪もいますが、こちらは絵図が確認できず、坊主頭かどうかは確認できません。
和尚魚と亀入道。
比べても不毛なことでしょうが……。
・不毛=髪の毛のない坊主頭
・不毛=なんの進歩も成果も得られないこと
・『和漢三才図会』=寺島良安著の絵入り百科事典)




