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578 フチカリ
フチカリは亡霊の一種で、これは福島県南会津郡桧枝岐村に次のような話が伝わっています。
猟師たちは貂のことをフチカリと呼んでおり、南会津地方で貂が怖れられているのは、昔、雪崩などで死んだ人間の亡霊が、貂に姿を変えて出てくると信じられているからだといいます。
またフチカリは、山中で死んだものの怨霊が姿を変えたもので、人が運びきれないものを運び去ることができるといわれています。
そうしたことからこの地方の山中では、「十二様」という山の神とフチカリを朝夕に祀るのですが、フチカリに供えた餅などはパサパサしてまずくなったといいます。
このとき供えた餅。
テンでダメになったといわれました。
・テンで=貂で=てんで
・てんで=まったく




