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568 蛇地蔵
蛇地蔵は昔話の一種で、宮城県気仙沼市に次のような話が伝わっています。
その昔。
化粧坂に機織をする母娘がいました。
あるときから毎夜、娘のもとにりりしい若者が通ってくるようになり、それからは娘が日ごとにやつれていくので、母は娘に言って、若者の着物の裾に糸を縫いつけさせました。
翌朝。
母娘が糸をたどっていくと、裏山にある穴にたどり着きました。
そこでその穴を村人らと掘り返したところ、大きな白蛇が這い出してきたので、みな驚いて打ち殺してしまいました。
その白蛇の尾には糸が縫いつけられてありました。
その後。
娘は蛇地蔵の社を造ると、その中に捨てずにいた糸を入れて共に祀りました。
イトオシカッタたのです。
・イトオシカッタ=糸惜しかった=愛おしかった




