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557 傘貸し狐
傘貸し狐は昔話の一種で、熊本県玉名郡に次のような話が伝わっています。
その昔。
太郎じゃどんという狐がいました。
あるとき太郎じゃどんは村の者と連れ添って、遠くの神社に参拝に出かけました。
参宮の旅が終わり、無事に帰ってくることができたお祝いにと、太郎じゃどんは同行した村人を家に招いて、ごちそうを振る舞いました。
ごちそうを食べ、酒を飲み、帰る頃になって雨が降り始めました。
太郎じゃどんはみなに傘を貸しました。
みなが借りた傘をさして帰っていると、それを見た子供たちが笑います。
このとき。
雨は降ってなく、しかもみながさしていた傘は芋の葉っぱだったのです。
この太郎じゃどん。
芋の葉の傘しかカサナカッタのです。
・カサナカッタ=傘なかった=貸さなかった
 




