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553 亡霊ヤッサ
亡霊ヤッサは怪異の一種です。
千葉県の銚子市などに伝承があり、亡霊ヤッサは「船幽霊」の類いのものだといわれています。
これは海の水死者の霊が自分の仲間を増やそうとしているもので、海上にかかったモヤの中から「モウレン、ヤッサ、モウレン、ヤッサ、イナガ貸せえ」という声が船に近づいてきたかと思うと、突如として海から手が飛び出してきました。
このとき素直にイナガを貸すと、海水を汲み入れられて船を沈められるので、あらかじめ用意していた底を抜いた柄杓を渡したといいます。
ちなみにイナガは「柄杓」、ヤッサは「船を漕ぐ掛け声」のことです。
この亡霊ヤッサ。
いつも底抜けに怒っていたといいます。
・底抜け=底を抜いた
・底抜けに=際限なく




