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550 山人1
山人という妖怪がおります。
これは江戸時代後期、橘崑崙著『北越奇談』に次のような話があります。
山人は人語を解し、毛むくじゃらで、草木の腰蓑をまとい、毛皮の服をやると喜んで着たといいます。
秋田県に次のような話が伝わっています。
太平森に棲む山人の背丈は2メートル以上あり、ヒゲは胸まで垂れ、熊の毛皮を身につけていました。
食べ物をやると喜んで食べ、煙草をやるとその礼として木の皮を集めるなど、山仕事を手伝ってくれたといいます。
この山人。
山中によくパンツを捨てていて、その落ちたパンツを見た猟師や木こりは多くいましたが、誰も拾いませんでした。
そのパンツ。
ケガワらしかったといいます。
・ケガワらしかった=けがわらしかった=毛皮らしかった
・橘崑崙(たちばなこんろん・1761~1819・詩書画家)
・『北越奇談』(ほくえつきだん・随筆集)




