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547 ぶっつありてい
ぶっつありていという妖怪がおります。
名前のぶっつありていは「おんぶされたい」という意味の方言で、福島県南会津郡檜枝岐村に次のような話が伝わっています。
その昔。
檜枝岐村の山の上から「ぶっつありてい!」と叫ぶものがおりました。
あるとき。
肝っ玉の大きな男が、声の主の正体を突き止めようと山の上まで行ったところ、影のようなものが男の背中にぶつかり、見ればそれは毛がふさふさしている四本脚の化け物でした。
男は化け物を背負って帰り、鍋に水と一緒に入れてグツグツと煮ました。
翌朝。
男が鍋のフタを開けると、ひとかたまりの黄金が入っていたといいます。
このぶっつありてい。
フタを開けてみるまで正体がわかりませんでした。
・フタを開けてみるまで=事の実情や結果などを見るまで




