542/924
542 つだがえ
つだがえは狐の復讐譚で、青森県に次のような話が伝わっています。
その昔。
ある威張りくさった男が、野原で眠っていた狐を大声で驚かしました。
そのあと男は、道に迷って一軒の家に泊めてもらうことになったのですが、その家には死人が寝かせられてあり、さらに家の者は男に留守番を頼んで外出しました。
男が留守番をしていると、死人が起き上がってお歯黒をつけ始め、「付だがえ、付だがえ」とたずねてきたので、男が「付だあ」と答えると、死人が襲いかかってきました。
男は驚いて逃げまわりました。
明け方。
「何を騒いでるんだ!」
通行人に声をかけられて、男は茨の中で我に返りました。
その後。
男はイバラなくなったといいます。
・イバラなく=茨なく=威張らなく




