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540 ミンキラウワ
ミンキラウワという妖怪がおります。
名前のミンキラウワは「耳のない豚」という意味で、奄美でこれに出遭った人の話があります。
終戦後のある冬の晩。
二人の男が永田川沿いの道を歩いていると、いきなり目の前に子豚が飛び出してきました。
二人は子豚を捕まえようとしましたが、なかなか捕えられず、そうこうしているうちに子豚は次々に増えていきました。
このときクレゾールのような臭いがして、やがて子豚たちも薮の中に消えていったといいます。
翌日。
二人は地元の年寄りから、そこには昔からミンキラウワという耳のない豚の妖怪がいて、いくら言い聞かせても出てくるのだと聞かされました。
このミンキラウワ。
聞く耳を持ちませんでした。
・耳を持ちません=耳のない豚
・聞く耳を持たない=聞こうとしない
・クレゾール=かつて病院などで消毒薬として用いられる




