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539 油瓶の鬼
油瓶の鬼は疫病神の一種で、平安時代末期、作者不詳の説話集『今昔物語集』に次のような話が記されています。
その昔。
小野宮の大臣という人がおり、御所である大宮のそばを牛車で通りかかったとき、なんとも奇妙なものが目の前を横切りました。
よく見ればそれは油瓶で、踊るような足取りで西方の屋敷へと入っていきました。
帰宅後。
大臣は気になって、従者を西方の屋敷の様子をさぐらせにやったところ、その屋敷には病身の年頃の娘がいて、その日の昼に亡くなっていました。
それを聞いた大臣は、件の油瓶は物の怪で、それが娘にとり憑いて殺したのだろうと思ったとあります。
この油瓶。
疫病ガメでした。
・疫病ガメ=疫病瓶=疫病神
・『今昔物語集』(作者不詳・平安時代末期に成立の説話集)




