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537 虎にゃあにゃあ
虎にゃあにゃあという妖怪がおります。
これは幕末から明治初期に制作されたとされる作者不詳の怪奇譚・絵巻『怪奇談絵詞』にあり、名前の「虎にゃあにゃあ」は禅宗の経文である「大悲心陀羅尼」の「哆羅夜耶」をもじったものと考えられています。
この絵巻には3体の虎にゃあにゃあが描かれているのですが、それらは縞模様の虎のような体を持ち、うち1体の尻尾は二つに裂け、手足の指の数は3本、顔は坊主のような姿で描かれています。
これは盗み癖がある強欲な僧を風刺したものだといわれ、いつもは何食わぬ顔で銭筒の竹の中に住んでいました。
「おい、おまえが盗んだだろ!」
「おれはトラニャアニャア」
・トラニャアニャア=虎にゃあにゃあ=盗らにゃあにゃあ(盗ってない)
・『怪奇談絵詞』(作者不詳・幕末から明治時代初期作・妖怪絵巻)
 




