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531 宗旦狐1
宗旦狐は京都市上京区の相国寺に伝わる妖狐です。
その昔。
相国寺では茶会が開かれていたのですが、宗旦の点前は、出席者全員が見とれるほど見事なものでした。
ある日。
宗旦が席を去った後、また宗旦が現れ、遅れてきたことを詫びました。
その後。
同じようなことが続き、不審に思った弟子たちが偽者らしき宗旦を問い詰めました。
すると偽宗旦は自分の正体を明かし、ずっと宗旦の点前に憧れていたので、自分もあのような見事な点前をしてみたかった。
それからあれこれと話し、すごすごと立ち去っていきました。
ところが……。
偽宗旦はその後も、相国寺の茶会にたまに現れていたといいます。
この宗旦狐。
お茶を濁す点前は見事でした。
・お茶=茶会
・お茶を濁す=いい加減なごまかしをして切り抜ける
・点前=茶道で抹茶をたてる作法




