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530 投げ頭巾
投げ頭巾は化け狐の一種です。
これは和歌山市に次のような話が伝わっています。
その昔。
かつての和歌山の高松から和歌浦にかけては松並木が続き、その道沿いには数軒の茶屋があり、それぞれが美しい女を雇っていました。
またこの松林には、投げ頭巾という名の女狐が棲んでいて、茶屋の美女に化けて、道行く人に悪戯をしていました。
ある日。
文武に優れた関戸加茂四郎という侍がだまされたふりをして女狐についていき、頃合いを見計らって懐に隠し持った石を投げつけて退治しました。
その後。
和歌浦の松の木の上から小石が降ってくるようになり、小石が当たったところは痛みがしばらく収まらなかったといいます。
ズキン、ズキン。
・ズキン=痛み=頭巾




