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53 大風呂敷
大風呂敷は化け狸の一種で、香川県仲多度郡まんのう町に次のような話が伝わっています。
その昔。
炭焼き小屋で一人で夜を過ごしていると、見知らぬ男がふらりとやってくることがよくありました。
この男こそが大風呂敷といわれる化け狸で、初めのうちはおとなしく囲炉裏の火にあたっていますが、そのうちあぐらをかいた股ぐらから金玉を取り出して、それを火であぶり始めます。
そしてあぶっては広げを繰り返すたびに、金玉はどんどん広がっていき、やがて風呂敷のようになるのですが、そうやって広げた金玉に人間をくるんで襲っていたといいます。
この大風呂敷。
「すごいだろ、これには何だって入るんだぞ」
いつも大風呂敷を広げていました。
・大風呂敷を広げる=大げさな言動をする




