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519 クサイ
クサイは憑き物の一種です。
青森県や岩手県に伝承があり、これは狸憑きで、村上健司著『妖怪事典』では「クサイ憑き」と表記されています。
クサイは狸に憑かれることをいい、狸が憑いた者は風呂に入るのを嫌って不潔になり、それが原因で狸のような悪臭を放つことから、クサイと名付けたといわれています。
もし狸に憑かれた場合、鉄漿を顔一面と胴体に塗ると、クサイは落ちるといわれています。
鉄漿は「おはぐろ」とも読み、お歯黒の原料である鉄片を茶の汁や酢に浸して作った褐色の液体で、独特の悪臭がするのですが、憑いた狸が離れるのは鉄漿の悪臭で狸の悪臭を制するからだといいます。
このクサイ。
メンドウクサイ憑き物でした。
・メンドウクサイ=顔一面と胴体=クサイ
・メンドウクサイ=面倒くさい
・村上健司(むらかみけんじ・1968~ ・著作家)
・『妖怪事典』(民俗資料、怪談集、随筆その他の日本の文献にみられる妖怪の事典)
 




