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509 鬼土鼠
鬼土鼠という妖怪がおります。
これは江戸時代作、福岡県立美術館寄託の『化物尽くし絵巻』の中で確認され、その姿かたちは他の絵巻などにある「牛鬼」と同じ図画で、頭が牛で首から下は鬼の胴体を持つ姿となっています。
こうした絵巻物には珍しく、この絵巻物には次のような詞書が添えられています。
「筑後国松崎の山中において、地の底から大きな地響きとともに何者かのうめき声が聞こえてきたので、土地の者があたりを掘り返してみたところ、地面の下から鼠のようなものが1匹出てきたという」
ちなみに筑後国松崎は、現在の福岡県久留米市あたりだといわれています。
この鬼土鼠。
大山鳴動して鼠一匹でした。
・大山鳴動して鼠一匹=騒ぎばかりが大きいわりにたいした事件はなかったというたとえ。ちなみに『大山鳴動』はイソップ寓話の1篇
・『化物尽くし絵巻』(作者不詳・妖怪絵巻物)




