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495 落葉なき椎
落葉なき椎は、江戸の本所を舞台とした「本所七不思議」の一つです。
江戸時代の頃。
江戸本所に所在した平戸新田藩松浦家の上屋敷には見事な椎の銘木があったのですが、なぜか冬になっても一枚も葉を落とすことがありませんでした。
やがて松浦家も、これを次第に気味悪く思うようになり、ついには屋敷を使わなくなってしまったといいます。
ちなみに現在。
落葉なき椎のいわれとなった木が残っており、そばにはその伝承を示す看板が立てられています。
ですが……。
その現場にある椎の木が、伝承の落葉なき椎だという確証はなく、近隣の椎の木はどれもみんな同じようなものだといいます。
この落葉なき椎。
どれもがどんぐりの背比べです。
・どんぐり=椎
・どんぐりの背比べ=どれもこれも平凡で、特にすぐれて目立つものがないことのたとえ
・本所七不思議=本所(東京都墨田区)に江戸時代ころから伝承される奇談・怪談




