491/923
491 ふらり火
ふらり火は怪火の一種です。
江戸時代中期、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』、佐脇嵩之の『百怪図巻』、作者不詳の『化物づくし』など、これは日本の古典の妖怪画に見られる火の鳥の妖怪です。
これらのいずれの絵も、犬かコウモリのような顔をした鳥が炎に包まれ、空中を羽ばたいている姿で描かれています。
石燕の『画図百鬼夜行』には解説文がなく、どのようなことをする妖怪であるかは不明ですが、火の化身であり、供養をしてもらえなかった死者の霊魂が現世をさまよううちに、このような姿になりはてたとする説もあります。
火の鳥は不死鳥ともいわれ、決してあの世に旅立つことはありません。
このふらり火。
ただフラフラとするシガナイ鳥でした。
・シガナイ鳥=死がない=しがない
・しがない=とるにたりない。つまらない
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・佐脇嵩之(さわきすうし・1707~1722・絵師)
・『図画百鬼夜行』(がずひゃっきやこう・妖怪絵巻)
・『百怪図巻』(ひゃっかいずかん・絵巻物)




