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489 甘酒婆1
甘酒婆という妖怪がおります。
青森県や宮城県などに伝承があり、夜中に老婆の姿で「甘酒はござらんか?」と民家を訪ね歩きました。
もしこれに答えてしまうと、甘酒がある、ないのいずれの返答でも病気になってしまうといわれました。
文化から文政の時代。
江戸、京都、大阪などの大都市では甘酒婆の噂話が流布しており、この甘酒婆の甘酒を売る声に返事をすると、流行り病を患うと信じられていました。
甘酒婆の来訪を防ぐには、杉の葉か南天の枝を戸口に吊るすのが良いとされ、当時の大半の家は杉の葉を吊るしていたといいます。
杉の葉は容易に入手でき、なかなか手に入りにくいというナンテンがなかったのです。
・ナンテン=南天=難点
・文化・文政年間=一八〇四年~一八三一年




