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488 陰鳥
陰鳥は怪鳥の一種です。
これは江戸時代末期、平尾魯遷著「谷の響」に次のようなことが記されています。
「毎年4、5月の小雨降る寂しい夜。
陸奥国津軽郡の砂子瀬村と河原平村では、清く澄んだ声で「カン!」と鳴き、また続いて「キン!」と鳴く。
その鳴き声は寒気立つばかりである。
またこの両村には、夜更けに「オヒトゴヒト、オヒトゴヒト」とささやきかけるものがいる。
これもものすごいことである。
この二つは鳥の声だといわれるが、どんな姿の鳥なのか、昔から今に至るまで土地の者でも一人として見たことがないそうだ。
また両村以外にはいないという」
この陰鳥。
その鳴き声を聞いた者は恐怖でトリハダが立ったといいます。
・トリハダが立つ=陰鳥=鳴き声は寒気立つばかり
・鳥肌が立つ=寒さや恐怖などによって皮膚に鳥肌があらわれる
・平尾魯遷(ひらおろせん・1808~1880・画家、国学者)
・『谷の響』(たにのひびき・説話、奇談)




