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487 飛縁魔
飛縁魔という妖怪がおります。
江戸時代後期、桃山人の奇談集『絵本百物語』に次のようなことが記されています。
「本来、飛縁魔とは女犯を戒める仏教用語であり、さらには女の色香に惑わされ、身を亡ぼす愚かさを諭す言葉である。
飛縁魔は菩薩のように美しい女でありながら夜叉のように恐ろしく、近づく男の身を滅し、命を奪ってしまう」
また語呂合わせで、男を早死にさせるとされる丙午生まれの女にも関連付けています。
さらには飛縁魔を「火の閻魔」ともじって火炎地獄の裁判官とし、これは空を飛んで縁に魔性をもたらすものとしています。
この飛縁魔。
トンダことになっています。
・トンダこと=空を飛んで
・トンダこと=思いがけないこと
・桃山人(とうさんじん・1804~1844・戯作者)
・『絵本百物語』(1841年刊行・奇談集)




