476/923
476 蛇藤
蛇藤は伝説の一種で、栃木県真岡市田町に次のような話が伝わっています。
「その昔。
海潮寺の近くにおマスという美しい娘が住んでいたのだが、18になった頃、夜な夜な美男が通ってくるようになり、日ごとに痩せていった。
心配した母が糸のついた針を男の服に刺すと、その糸は白蛇の棲む神力淵につながっていた。
おマスは菖蒲酒を飲んで、たらい半分の蛇の子を産んだあと死んでしまった。
亡骸は海潮寺に葬られ、そこからは蛇の形をした藤の木が生えて大きく育った。
その後。
この藤は蛇藤と呼ばれて気味悪がられたが、あるとき気にとめなかった木こりたちが伐ったという」
この蛇藤。
今はかけらも見当たらず、もうキになることはないといいます。
・キになる=木になる=気になる
・菖蒲酒=厄除けや邪気払い効果があるといわれている




