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474 野狐憑き
野狐憑きは憑き物の一種です。
これは九州地方に伝承があり、大きさはネズミより少し大きく、毛の色は黒いとも白いともいわれ、人の目には見えなかったといいます。
九州北部では、これに憑かれた者は病気になったといわれました。
南九州では家筋に憑くとされ、野狐が憑いている家筋はこれが代々ずっと憑き、養いきれなくなると牛馬に憑くこともあったといいます。
壱岐島では、野狐に火傷の傷をなめられると疱瘡を病んで死ぬといわれ、そのため野狐を寄せつけないよう蚊帳の中に入り、周囲に野狐の嫌いな麻殻の灰をまくか、または刀剣を置いて野狐が中に入ってくることを防ぎました。
この野狐。
ヤムナク退散したといいます。
・ヤムナク=やむなく=病むなく
・疱瘡=天然痘
 




