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473 歩く白蝶
歩く白蝶は江戸時代中期、瑞竜軒恕翁著『虚実雑談集』に次のような話があります。
「その昔。
奥州二本松に住むある侍のもとに、夜ごと白い蝶がやってくるようになり、その蝶が触れるとたちまち体の節々がひどく痛んだ。
ある夜。
広間の方から岩が落ちたかのような大きな音がしたので驚いてそちらを見ると、大の男ほどの背丈の白蝶が立っていて、人が歩くようにのしのしと歩いて寝所に入ってきた。
「化け物め!」
太刀で斬りつけると、白蝶はひらひらと金銀の箔が飛ぶように散って、どこかへ姿を消した。
その後。
白蝶が現れることはなく、病も癒えた
これはのちに侍が江戸に出て語った話だという」
この歩く白蝶。
チョウ不思議な話でした。
・チョウ=蝶=超
・瑞竜軒恕翁(ずいりゅうけんじょおう・1687~1784・講釈師)
・『虚実雑談集』(きょじつぞうだんしゅう・読本)




