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46 木魚達磨
木魚達磨という妖怪がおります。
これは江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、木魚に髭をはやした達磨の顔が描かれています。
かつて達磨太子は、9年間眠らずに修行したとされていることから、この妖怪にとり憑かれるとひどい不眠症になったといいます。
その昔。
某寺で使われていた古い木魚が、長い年月を経て木魚達磨に化身しました。
――みておれよ。
魂を宿して自由に動けるようになった今、自分を叩いてきた者たちへの恨みでいっぱいでした。
木魚達磨はさっそく復讐に向かいます。
ですが逆に小僧らに捕まってしまい、以前のように朝から晩まで木魚として叩かれました。
木魚達磨。
血ダルマになりました。
・達磨=血ダルマ
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)




