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458 シリコボシ
シリコボシという妖怪がおります。
三重県志摩市に伝承があり、これは海に棲む河童のようなものだったといわれています。
三重県志摩郡出身の画家、岩田準一著『志摩の海女』に次のようなことが記されています。
その昔。
志摩郡布施田村の海女は、牛頭天王を祀る天王社の祭りの日に海に潜ると、このシリコボシから生き胆である尻子玉を抜かれると信じていました。
ただし、天草採りの日が祭りの日と重なってしまい、どうしても海に潜らなければいけないときは、山椒の枝を糸でまとめて胸に下げれば、シリコボシは寄ってこなかったといいます。
このシリコボシ。
山椒を見て尻込みしました、
「ああ、どうしサンショ」
・どうしサンショ=どうしましょ=どうし山椒
・岩田準一(いわたじゅんいち・1900~1945・画家・風俗研究家)
・『志摩の海女』(詳細不明)
・牛頭天王=悪疫を防ぐ神




