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455 女郎蜘蛛2
女郎蜘蛛は江戸時代中期、菅生堂人恵忠居士著『太平百物語』に次のような話があります。
その昔。
美作国高田の孫六という者が縁側でうとうとしていると、女が現れて孫六を屋敷へ招き、娘と結婚してくれるよう頼みました。
孫六が妻がいるからと断ると、娘は「一昨日、母はあなたに殺されかけたにもかかわらず、訪ねたというのに」とすがりつきました。
孫六が逃げ惑っていると屋敷は消え、いつしか元の縁側にいました。
夢かと思って周囲を見ると、そこにはクモの糸がびっしりと張られ、女郎蜘蛛がいました。
このときはじめて、孫六は一昨日、蜘蛛を追い払ったことを思い出しました。
この孫六。
女郎蜘蛛のイトしたことを知ったのでした。
・イト=糸=意図
・菅生堂人恵忠居士(詳細不明)
・『太平百物語』(たいへいひゃくものがたり・怪談)




