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451 瓶長
瓶長という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にあり、これは水瓶が魂を宿して付喪神となったものだとし、水瓶が目と鼻と舌をつけた姿で描かれています。
その絵の解説文。
「燕曰く。わざわひは吉事のふくするところと言へば、酌どもつきず。飲めども変わらぬめでたきことをかねて知らする瓶長にやと、夢のうちにおもひぬ」
これを要約すると、瓶長というものは「瓶の水を汲んでも決して水が尽きることのない、いわば幸せの入った瓶」であるとしています。
ところがこの瓶長が皮肉にも、付喪神を描いた妖怪画集『百器徒然袋』の最後のページを飾ることになりました。
この瓶長で付喪神がツキました。
・ツキ=尽き=憑き
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『百器徒然袋』(ひゃっきつれづれぶくろ)




