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448 鍋かぶり
鍋かぶりは福島県南会津郡檜枝岐村に次のような話が伝わっています。
その昔。
桧枝岐村の山中には化物清水と呼ばれる泉があり、その付近に小屋をかまえる木こりの一団がいました。
ある朝。
小屋の戸を引っ掻く音がするので木こりの一人が戸を開けると、化物清水に大きな鍋をかぶった怪しい者がいました。
村に戻った木こりたちがその話をしたところ、一人の男が化物の正体を確かめてやると言って、泉に向かいました。
それから3日経っても男は戻らず、どこを探しても発見することはできませんでした。
その後。
男はなぜか泉のそばの木の上で見つかり、泉には鍋があったといいます。
木こりたちは鍋を前に首をひねりました。
「ナベだべ?」
・ナベ=鍋=なぜ
 




