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44 算盤小僧
算盤坊主という妖怪がおります。
これは夜になると、坊主姿で寺や神社の木の下に現れ、そこで算盤を弾いていたといい、京都府亀岡市に次のような話が伝わっています。
その昔。
京都府船井郡西別院の笑路にある西光寺のそばに1本のカヤの木が生えていました。
夜更け。
人がこのカヤの木の下を通ると、小坊主のような男が現れ、盛んに算盤を弾き始めたといいます。
これは昔。
西光寺の小坊主が計算ミスをしたことで和尚にひどく叱られ、それを苦にしてこの木で首を吊って死んだことから、その小坊主の霊が成仏することなく、夜な夜な現れては算盤を弾いていたのだといいます。
この算盤坊主。
自ら人生をご破算にしたのでした。
・ご破算=算盤で次の計算に移るとき、先に置いた珠を全部払って零の状態にすること




