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429 夜刀神
夜刀神は邪神の一種です。
これは頭に角を生やした蛇体で原野に群棲し、姿を見た者は一族もろとも滅んでしまったといわれ、常陸国の地誌『常陸風土記』に次のような話が記されています。
六世紀後半。
行方郡の豪族の麻多智という者が、西の谷の葦原を新田として開懇した際、夜刀神が群をなして邪魔をしました。
これに対し麻多智は、自ら矛を手に夜刀神を打ち倒しました。
そのあと麻多智は山の入り口に大きな杖を立て、「これより上は神の土地、これより下は人の田とする。今日から私が祭祀として神を祀るので、これからは祟ることのないように」と、夜刀神に言い渡しました。
矛を収めたのでした。
・矛を収める=戦いをやめる
・『常陸国風土記』(ひたちのくにふどき)=常陸国(現在の茨城県の地誌




